冷徹社長の初恋
「絲。これからの話をしようか」

剛さんの言わんとしていることを読み取ろうと、顔をあげた。剛さんは、穏やかな目を私に向けていた。

「昨日も言ったように、俺は、絲が俺を受け入れてくれた以上、少しでも早く糸を俺の妻にするつもりだ」

私の意思を見逃さないとでもいうように、じっと見つめてくる剛さんに、私の気持ちはかわらないという想いを込めて頷いた。

「絲はもちろん、仕事を続けたいな?」

「はい。続けたいです」

「わかった。絲は今年で3年目だということは、来年度、異動の可能性があるってことだな?」

「そうですね。確実ではないですが」

「教員の世界だと、人事に関することはいつ頃までに上に報告をするんだ?」

「えっと……いつまでとか言われたことはないですが、以前、他の先生が遅くとも12月までに報告をしないとって話してました。実際に異動を本人に伝えるのは2月の終わり頃です」

「そうか。それなら、絲が少しは動きやすい夏休みに、絲の実家に挨拶に行く。絲の両親の許しがもらえたら、すぐに籍を入れるぞ。そのまま学校に報告すれば、絲の勤務地も考慮してもらえるだろう」

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