冷徹社長の初恋
「それから、住む場所だな。絲の通勤を考えると、俺のマンションは難しいな。絲の来年度の人事がはっきりするまでは、考えられないな。かと言って、それまで別居では、俺が絲不足になってしまう」

その言い方がおかしくて、思わず笑ってしまう。

「よし、決めたぞ。当分の間、週末は絲の部屋ですごす」

「狭くないですか?」

「それだけ絲の近くにいられるってことだ。ちょうどいい」

もう、なんだろう、剛さんのこのあまさは……
おもわず、剛さんの厚い胸元に頬をすり寄せた。

「絲、俺を誘っているのか?」

「さ、誘っている?い、いいえ。剛さんの言葉が嬉しくて……」

「まあ、無理はさせたくないからな…今は我慢するか」

い、今はって……

「絲が休日出勤する日は、俺も仕事をしている。でも、必ずここに帰ることにしよう。
月曜日の朝は、絲もバタバタするだろうから、日曜日の夜に帰るようにする。我慢できたらな」

が、我慢できたら……?
だめだ。
仕事中の剛さんとのギャップがありすぎて、ついていけなくなりそう。


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