冷徹社長の初恋
「絲、聞いているか?」

剛さんの言葉にいちいち反応して考えていたら、突然剛さんに顔を覗き込まれて驚いた。剛さんは、なんでもないように私にキスをして、話を続ける。

「絲は、絲のペースて、いつも通りすごしてくれ。俺もそうする。でも、週末の夜だけは、絲を独占させてもらうぞ」

真顔でそんなことを言う剛さん。私は思わず頬を赤らめた。

「は、はい」

私の返事に満足そうに頷いた剛さんは、再び私を抱きしめる。

この日はずっとくっついてすごしていた。
いつも精力的に働いている剛さんだから、こんなすごし方は退屈じゃないかとか、イライラしないかとか思って尋ねてみた。

「こんなふうに、何もしないで異性とべったりしながらすごしたことはない。時間の無駄だと思っていたからな。でも、絲とならそうは思わない。むしろ、ずっとこうしていたいぐらいだ」

剛さんは、どこまでもあまくて、私を恥ずかしくさせる天才だ。

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