冷徹社長の初恋
朝から一歩も外に出ないで、ずっと私の部屋で2人っきりですごしていた。昼も夜も食事を用意して、家事をしてすごしていると、なんだか結婚してからの生活のように思えてくる。

「絲と結婚したら、こんな毎日なんだろうなあ」

剛さんが何気なく呟くから驚いた。

「剛さん、私も今、そう思っていました。なんだかもう、本当に結婚しちゃったみたいって」

「そうか」

ふわっと微笑む剛さんに、胸がキュンとなる。

剛さんにもたれて座りながら、おもわず呟く。

「剛さん、大好き」

剛さんは、おもむろにキスをしてきた。驚いたけど、すぐに私も応える。そのまま剛さんとのあまい時間をすごしていると、幸せすぎて涙が溢れてくる。

「どうした?絲」

「なんだか、幸せすぎて……」

「ああ、そうだな。もう帰らなくてはいけないと思うと、やるせなくなる」

頬をつたう涙を、剛さんの温かい唇が拭ってくれる。

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