冷徹社長の初恋
「はい。昨夜、春日さんから電話がかかってきたんです。特に用はなかったみたいで。ただ、声を聞きたかったって……でもその時、後ろで甘えるように、春日さんを呼ぶ女性の声が聞こえたんです。しかも、下の名前で。春日さんは、そのことに何も触れないで通話を終えました。もしかしたら、私には聞こえてなかったと思ったかもしれませんが……」

「それで沈んでたんだ」

「はい」

川原先生は、体を乗り出して私の頭をポンポンとあやすように触れた。

「辛かったね」

優しくそう言われて、おもわず涙が滲んできた。
それを堪えるように、俯いて唇を噛み締めた。








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