冷徹社長の初恋
そう言って、スマートフォンを操作して、写真を見せてくれた。そこには、剛さんの横で健やかな笑みを浮かべた男性が写っていた。

「じゃあ、剛さんはこの方と何をしていたのですか?」

「それは……」

剛さんらしくなく言い澱むから、再び不安になってくる。

「剛さん?」

「ああ、すまない。本当は、もう少ししたら正式に言うつもりだったんだが……」

剛さんはおもむろに立ち上がると、私の前に片膝をついて、ポケットから取り出した小さな箱を取り出した。

「あいつは、学生の頃からの知り合いで、ジュエリーショップを経営していてな、これの相談に乗ってもらっていたんだ。
今日は、そのお礼にと要求されて、デートまがいなことをさせられていた。
とはいえ、食事に行っただけだ。腕を組まれたのも、お礼の範囲だった。それ以上のことはもちろん何もないし、俺にそういう趣味もない。
今度、絲に会わせろって騒いでいたから、絲さえよければ紹介する」

剛さんが箱を開けると、そこにはダイヤの輝く指輪があった。
その意味を悟って、おもわず息を飲む。







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