冷徹社長の初恋
電話を終えて職員室の方へ顔を出すと、自席で仕事をしていた副校長が、すぐに校長室にもどってきた。

「電話の内容はなんでしたか?」

「それが……どうやら、うちの子ども達の誰かが、先日の見学で鉛筆の忘れ物をしたそうなんです」

「鉛筆……ですか?」

私と同じく、副校長も戸惑っているのが伝わってくる。

「はい。そうおっしゃっていました。それで、私が取りに伺って、子ども達に確認するって言ったんですが……社長の春日さんが、土曜日に私に届けに来るって言われるんですけど……」

「えっ?春日さんが自ら?」

「はい。郵送も提案したんですけど……」

副校長は、何か考え込んでしまった。



「とりあえず、何か大きな問題があったわけではなさそうですね」

「はい。それは大丈夫そうです」

「春日さんとの受け渡しは、どうやってするんですか?」

「それが、土曜日にここの最寄駅に来るようにって……」

春日さんが、どうしてこんな受け渡しを言い出したのか見当も付かず、2人して戸惑ってしまう。

「もしかしたら、こちらの方に何か仕事のついでがあるのかもしれませんね」

ふと思いついて、言ってみたものの、そんな感じは受けなかった。

「まあ、そうかもしれませんが……とりあえず、春日さんの言われるようにするしかないみたいですね。土曜日、いつでも連絡がつくようにしておくので、何かあったらかけてきてください」

「わかりました」

お互い、なんとなく府に落ちないものの、とりあえず自席にもどった。

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