妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
大切に思われているのはしっかり伝わってるのに、好きだと肝心の言葉をもらってないからか、生まれた不安をなかなか消せない。
恭介君の目に私はどう写ってる?
両親を亡くてして、家を追いやられ、父親のものだった会社にも入れず、夢まで諦めた可哀想な子?
だから守りたいと思ったの?
妹のようじゃなくひとりの女として、私をちゃんと好きでいてくれてる?
疑いたくなんてないのに、彼の中で恋愛感情より同情の方が大きかったらと怖くなる。
「……美羽?」
私の感情の乱れを感じたのか、恭介君がそっと唇を離し、こちらを見た。
視線が繋がり、不思議そうだった眼差しに戸惑いの色が混ざりだす。
「怖がらせてすまない」
私の頬を撫でた恭介君の指先から、自分が泣いていたことを知る。
彼は数秒目を閉じ、振り切るように一気に体を起こして距離を置く。
「気持ちが追いついていないのならちゃんと待つよ」
そう言い切ってから、恭介君が立ち上がる。
行き先を決めかねているかのようにうろうろした後、彼は自分の書斎部屋へと入っていった。
その姿と、ひとり取り残されたことで、失敗したと胸がぎゅっと苦しくなる。
家は4LDK。ふたりの寝室と彼と私の部屋がそれぞれひとつずつあり、残りは空き部屋だ。
ベッドは寝室にしかないけれど、彼の書斎でも寝れないことはない。
ふたりっきりのはじめての夜なのに、このままでは別々で朝を迎えることになる。