妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
彼から手が離れ、足も後退したけれど、すぐさま優しい両手で捕らえられ、私は彼の腕の中に閉じ込められた。
「大好きだ。世界の誰よりも、美羽が好き。愛しくてたまらない。子供の頃から俺はずっとお前だけを見てる」
「こ、子供の頃から!?」
「あぁずっと。なんだ、気付いてなかったのか?」
勢いよく顔をあげて目を大きくすると、恭介君も同じような顔で私を見つめ返してくる。
驚きに満ちた声で、やっと抱えていた気持ちを言葉にした。
「気付くもなにも、好きって言ってもらえなかったから、もしかしたら私に同情して結婚相手に選んだのかって」
「俺はそんなにお人好しじゃない。顔を見られない間、ずっと大和に探りを入れていたし、学生の頃は美羽に近づこうとする男が現れるたび何度も邪魔をした」
彼から告げられた事実はまさかの思うものばかりだった。
「気付かなかった」とこぼした私に、「目立たないように足掻いていたからな」と恭介君が笑った。
「でも、すまない。すっかり全ての想いを伝えているつもりでいた。自分では美羽が好きだともう何千回も言っている気分で……、どうやら心の声が大きすぎたみたいだ」
「謝らないで。私だって、自信がなくて恭介君に好きって言い出せなかったし。疑っちゃってごめんなさい」
頭を下げながらも、徐々に互いの謝罪が面白く思えてきて、気がつくと私も笑顔になっていた。