妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
ふたりがマンションの一階エントランスに到着したことを知り、恭介君の眉間にシワがよる。
「夜まで我慢してください」
そう囁き、頬にキスしてから、私はインターフォンへと手を伸ばした。
慌てて身なりを正した後、ふたりを迎え入れると、途端に部屋の中が賑やかになった。
晶子先生は食品の入った袋を両手いっぱいの抱え持ちながらキッチンへ向かい、同時に私を呼ぶ。
ソファーに腰かけたお義父さんも、早速恭介君を呼び寄せ、何か不便なところはないかと室内を見回しながら話し始めた。
男女それぞれに、時には四人で笑顔をかわしながら、時間はゆったり進んでいく。
エビとタラのアヒージョに、ほうれん草とベーコンのキッシュ、ローストビーフ、トマトとモッツアレラチーズのサラダに丸ごと玉ねぎのスープなど、手慣れた様子で晶子先生がどんどん料理を完成させていく。
手伝う傍らメモを取り、私はそれらのレシピを頭に叩き込んだ。
恭介君の好物だったり味付けばかりだというのなら、覚えておいて損はない。
「あぁ。久し振りに楽しい夕食だな。どうだ? ここを引き払って家で四人仲良く暮らさないか」
「遠慮しておく」