妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
食事を終え、お腹をさすりながらお義父さんがしみじみと問いかけてくる。それに即答したのはもちろん恭介君だ。
「少しは悩め!」
「考えるまでもない」
食後のコーヒーを「どうぞ」とお義父さんの前に起きながら、私はそんな親子のやりとりに笑みをうかべた。
お義父さんは「ありがとう」と私に微笑みかけてから、湯気の立つコーヒーを一口飲み、満足げに息をつく。
そしてどこかぼんやり遠くを見つめながら、独り言のように呟く。
「次の食事会はぜひ家で。その時は大和君も呼ぼう」
「ありがとうございます。兄も喜びます」
お義父さんからの思いがけない言葉が嬉しくて、気持ちが跳ね上がる。
兄のことを忘れないでいてくれたことも有難いし、それにあの家でひとりっきりで暮らしている兄のことは、私自身気がかりでもあったからだ。
「そうしたら、あいつらふたりも一緒に招待した気分で酒を飲もうじゃないか。きっと美味いぞ」
続けて穏やかな表情で発せられた独り言のような呟きに、思わず目を見張る。
「その時は、お酒はほどほどにって私が注意しますからね」