妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
まさかという思いは、キッチンからの晶子先生の言葉で確信に変わる。
これは私のお母さんがお父さんによく言っていた言葉だ。
だからお義父さんの言う「あいつらふたり」とは亡くなった両親のことで間違いないだろう。
互いの両親は昔から仲が良かった。それが伝わってくるお義父さんの切なげな表情に胸が熱くなり、目に涙が浮かぶ。
空いたお皿を下げつつ、代わりに恭介君の所へコーヒーを運びながら、その時が来たら私も両親に伝えたいと強く思った。
私は今、とても幸せだと。
晶子先生は自分のコーヒーを手に席に戻る途中、棚に置いてあった通販雑誌にも手を伸ばす。
「なにか教室で使えそうなものはあるかしら」
ぱらぱらとページを捲り、雑貨を眺めていたけれど、「あら」という声と共に手が止まった。
「可愛らしいわね。また新しい楽しみが増えたわ。期待しているわよ」
意味深に目配せされ、なんの話だろうと思わず身構えながら、お気に入りのコーヒーカップを手に恭介君の隣の椅子へと腰掛けた。
晶子先生の手元の紙面を確認した瞬間、ドキリとする。持っていたカップから熱いコーヒーがこぼれそうになり余計に慌てた。
開かれていたページは、赤ちゃん用の可愛らしい衣類が載っているところだったからだ。