妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
何を思っての、今更の確認だろうか。
刺々しく聞き返すと、ふっと鼻で笑う声が小さく響いた。
「噂を小耳に挟んで、あなたの目的がわかりましたのよ。取り入るのがとてもお上手なのね」
「な、なんの話でしょうか?」
責めるような口調と覚えのない非難に、戸惑いばかりが膨らむ。
「白々しいこと」と前置きしてから、女性が告げる。
「羽柴コーポレーションが、アオト株式会社に吸収合併されるんですってね。経営が悪化してたから、助けて欲しくて恭介さんに近づいたんでしょ?」
飛び出した情報に言葉を失う。
自分は何も聞いてないという動揺と、それはただの噂話ではないかという疑いの気持ちが、体の中でせめぎ合っている。
「それとも、アオトの方が羽柴を欲しかったのかしら。あなたと結婚した方が何かと都合が良かったとでもいうのなら、いろいろ納得だわ」
ふふふと見下したような笑い声が深く心に突き刺さり顔を歪めると、休む間も無く電話口からすっきりした声で要求される。
「さ、早く晶子さんに代わってちょうだい」
「……は、はい。すぐに」
震える指先で保留ボタンを押して、大きく息を吐く。