妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~

確認すると、ちょうど三十分前に彼からメッセージが入っていた。


『今日は早く出ます。夕食、美味しかった。ありがとう。寝る時は、ちゃんどベッドで寝るように。風邪をひく。今夜はできるだけ早く帰るから』


淡々と並べられた言葉たちから、私への気遣いや彼の優しさがしっかりと伝わる。

それは嬉しいし愛しさも深まるけれど、心の奥底で重苦しく揺らめく昨日生まれた疑問までを覆い尽くすには至らない。


「忙しいのは、羽柴を吸収するから? 本当なの?」


ぽつりと問いかけた声が静かな室内に虚しく響いた。



アザレア音楽スクールの仕事に向かうべくマンションを出て、とぼとぼ歩道を進んでいく。

途中、飲み物を買いたくてコンビニに立ち寄るが、雑誌のところでぴたりと足が止まった。

週刊誌の表紙に気になる見出しを見つけ、思わず手を伸ばす。

“ツインタワー、合併か”

ツインタワーで思い浮かぶのは、アオト株式会社と羽柴コーポレーションだ。

まさかと思いながらも、鼓動はどくどく響き出す。

雑誌を手に取り、ぱらぱらとページを捲り、飛び込んできたアオト株式会社の文字に息を飲む。

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