妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~


「美羽ちゃん、おはよう! 姿を見かけて、ついついつられて私もコンビニに立ち寄っちゃったわ」


突然聞き慣れた声音に横から明るく話しかけられ、びくりと肩を揺らした後、戸惑いを隠せぬままに顔を向ける。


「……晶子先生、おはようございます」


目が合った瞬間、晶子先生がキョトンとした。


「何を見ているの?」


そう言って、私の手元を覗き込んできた瞳がわずかに大きくさせた。


「これ、本当ですか?」


震える声で問いかける。

記事には私が聞いた通り、アオト株式会社が羽柴コーポレーションを吸収合併する話が水面下で進んでいると書かれていた。

羽柴コーポレーションの業績悪化という文字も目立っていて、思わず目を背けたくなる。

しかもそれだけじゃない。

よく読むと、『新社長には、アザレア音楽スクールの代表であり、アオト株式会社の息子でもある青砥恭介が有力視されている』と書かれている。

これは本当なのだろうか。本当だとしたら、いつからそのつもりだったのか。

私と結婚する前から?

考えれば考えるほど、どんどん不安に飲み込まれ、深みにはまっていくような感覚に陥っていく。


「そうなるだろうってことは聞いたわ。けど、主人とは普段から会社の話をあまりしないから、詳しいことはなにも。そこに書いてある恭介のことも分からない」


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