妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
晶子先生が真剣に言葉を紡ぐ。
そして私の顔を伺い、気遣いの眼差しとともに問いかけてくる。
「美羽ちゃんは、恭介からなにも?」
「それらしきことを耳にしたので、昨日の夜に話をしようと思っていたのですけど、寝てしまって。起きたら既に恭介君は家を出た後で、聞きそびれました」
情けないという思いと共に出た言葉に、晶子先生も苦しげな顔をする。
「大和ちゃんからも何も聞いてないの? この前、泊まっていった時とか」
頷き返しながら、心の中に苦いものが広がっていった。
お義父さんと恭介君と兄。あの日の夜、三人が顔を付き合わせて話しただろう内容が、やっとわかった気がした。
そして私が目にしたのは、父の大切にしていた会社を守り抜くことができない無力さに打ちのめされ荒れていた兄の姿だったのかもしれない。
雑誌を閉じて、元の場所へと戻し、小さくため息をつく。
「雑誌とか、誰かからではなくて、できれば恭介君の言葉で本当のことを聞きたいです」
あやふやな状況のままでいたら何も手につかなくなってしまいそうだ。
自分の気持ちをぽつりとこぼすと、晶子先生が私の腕へと労わるように優しく手を添えた。