妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
さらにきつく叔父から締め上げられた彼をはらはらしながら見守るしかなかったが、周囲のざわめきが耳に入ってきたことで、叔父の様子に変化が現れた。
通りすがりの人々や、羽柴コーポレーションから出てきただろう幾人の社員が、足を止めてこちらの様子を伺っている。
そして少し離れたところからじっと見ていた二人組の男性が歩み寄ってくる姿も確認できた。
ひとりがカメラを手にしているため、私には彼らが記者だと思えた。
叔父も気がついたのだろ。舌打ちをして、恭介君から手を離す。
そのまま路肩に停車している車へ一直線に向かっていったが、恭介君から「待ってください」と呼び止められ、叔父は立ち止まり肩越しに振り返る。
「私の妻を不安に陥れておいて謝罪もなしですか?」
彼が言い終えるや、誰が謝るかとばかりに叔父が私を睨みつけてくる。
怒りをぶつけられるのは恐怖しかなく、思わず恭介君のジャケットの裾を掴む。
するとすぐに、彼が私の腰に手を添えた。彼の温かさに勇気をもらい、なんとか私も気持ちを立て直す。
「今後彼女に話があるときは、大和を通してもらいたい。勝手に接触されるのは不愉快なんです」
恭介君からの注文に、叔父がなにか言いたげに口を開閉する。
けれどすぐそばまで記者のような二人が迫ってきていたため、口ごもるしかできない。
しかし、恭介君は外野を気に止める様子は一切なく、凛とした声で続ける。