妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
「それから、俺がこの世で一番愛しているのは美羽ですから。彼女以上に欲しいものなど存在しない。あなたには理解できないかもしれませんが、誰かの幸せを一番に乞う人間もいるんです」
先程の自分の発言を完全否定され、叔父がバツの悪そうな顔をした。
そしてやはり、周りを気にしてから口を開くことなく身を翻す。
立ち去った叔父と入れ替わるように、二人組の片割れが私たちの前に現れ、「青砥恭介さんですよね?」と彼に声をかけてくる。
問いかけと共に、男性は先ほど私がコンビニで目にした週刊誌名と苗字を名乗った。
流れるように男性の視線が私にも向けられ、隣に立ったもうひとりがカメラを構えると、すぐさま遮るように恭介君がレンズの前へと手を伸ばす。
「お話しすることはありません」
きっぱりと言い切り、そして彼らから隠すように私を引き寄せ、歩き出す。
諦めきれないらしく男性ふたりが追いかけてきた。
私たちは身を寄せ合いながら、一気にアオト株式会社の本社ビルの中へと足を踏み入れた。
「しつこいな」
後ろを振り返った彼につられるように私も入口へと視線を移動させる。
しっかりと警備員が彼らの行く手を遮っているのを確認し、私はほっと息を吐いた。
受付嬢の三人が「お帰りなさいませ」と、綺麗に角度を揃えてお辞儀をする。
それに恭介君が軽く手を上げて応えたのに目にして、私もぎこちなく頭を下げ返した。