妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
彼にとって私との結婚は羽柴コーポレーションを手に入れるための通過点にすぎなかったのだろうか。
それでも、私は彼を信じたいと思った。
たとえ叔父や高志さんと同じ思惑が恭介君にあったとしても、私を好きだと言ってくれた彼の言葉すべてが嘘偽りだったなんて思いたくない。
私は顔を上げて、改めて恭介君と、そして自分の気持ちと向き合った。
叔父や高志さん、兄、父に母。
それぞれとの思い出が、私の中で喜びや悲しみ、悔しさままでをも呼び起こしていく。
恭介君と視線を通わせ蘇ってくるのは、溢れるほどの幸せな気持ち。
そして、輝き出した確かな強い思いを感じ取り、静かに喋りかけた。
「そっか。役に立てたならよかった」
そこで一呼吸挟み、笑顔で自分の気持ちを告げる。
「知らない誰かの手に父が大切にしていた会社が渡るくらいなら、やっぱり恭介君が良い。ううん、恭介君だから安心して任せられる。羽柴コーポレーションをどうぞよろしくお願い致します」
嘘じゃない。
このまま叔父に任せて、羽柴コーポレーションが白い目で見られるようなことになるくらいなら、恭介君やアオトの元に下る方が何倍も良い。