妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
たくさんの思いを乗せて、あっという間に三ヶ月もの月日が流れた。
叔父は責任を追及され辞任に追い込まれ、高志さんも後を追うように辞表を提出した。
程なくして兄が新たな社長として就任の会見をする様子がメディアで流れ、その頃にはもう、叔父一家は逃げるようにあの家を出て、私たちの前から姿を消した。
なんでも叔母さんの実家にしばらくは身を寄せると、兄に言っていたようだ。
そして私たち夫婦も相変わらずである。
恭介君は副社長として日々に追われているし、私もピアノ漬けの生活を続けている。
それでも夕食はなるべく一緒に食べるようにしているし、……時にはこうして、恭介君が都合をつけてくれ、ふたりの時間をしっかりと作っている。
昼過ぎ、いつか不安と共に歩いたアオト株式会社までの道を、私は足取り軽く進んでいく。
思わず立ち止まり、私の隣を通り過ぎていった営業部らしき男性ふたりを、振り返り見た。
どちらも羽柴コーポレーションから出てきた人たちで、表情はとても明るく生き生きとしていた。
足が止まった場所は、あの日と同様、羽柴コーポレーションの前だった。
感慨深げに会社を見上げていると、「美羽」と彼の声が優しく耳をくすぐる。