妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
大きく踵を返すと、すぐにこちらにやってくる恭介君の姿を見つける。
私も彼に向かって足早に歩き出した。
「急に呼び出して悪かった」
「ううん、お誘いありがとう。嬉しかったから飛んで来ちゃった」
見つめ合い笑みを浮べてから、恭介君が「こっちだ」と路肩に停車してある彼の車へと私を誘導した。
今日は、恭介君が半休をとってくれた。
だからこれから一緒にお昼ご飯を食べ、デートにも繰り出す予定である。
「店は決まったか?」
「まだ迷ってる」
ここに来るまでなにも考えてなかった訳じゃない。
普段から気になるお店を話しているため、行きたい店がたくさんありすぎて決めるのが難しいのだ。
話しながらふたり並んで歩き出した時、恭介君の車の後ろに黒色セダンの高級車が停車した。
そこから降りてきたのは兄だった。
秘書を引き連れて羽柴コーポレーションに向かって進んでいく。
「午後の予定ですが……」と手帳を確認しながら話しかける秘書に頷いていた兄の視線が私たちを捉えた。
軽く手を振った私に兄はにやりと笑いかけるも、そのまま足を止めることなく、力強い足取りで真っ直ぐ会社へと向かっていく。