妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
「時間があるとき、掃除しに行こうかな」
私も暇ではないけれど、兄や恭介君は比べ物にならないくらい忙しい。
「休みの日なら俺も手伝うよ。その時は大和に夕飯くらい奢ってもらおう」
「そうだね」と笑いながら、ふっと昼間見かけた兄の姿を思い出し、胸を熱くさせた。
「さっき見たお兄ちゃん、なんか頼もしかったな」
「あぁ。あいつは良くやってるよ。この調子だと、羽柴もすぐに一番活気があった頃に戻るだろう」
くれた言葉に安堵した瞬間、恭介君に引き寄せられた。
あっという間に、私は恭介君の膝の上に座る形となる。
最初は戸惑うも、肩にかかっていたタオルを彼が掴んで、私の髪の毛を拭き始めてくれたため、それが心地よくて大人しく彼の膝の上におさまった。
「遊園地、楽しかったなぁ」
独り言のように呟くと、ふっと恭介君が笑った。
「童心にかえってたもんな。良い気分転換になっただろ?」
遊園地は恭介君の提案だった。
今の今までたまには彼も遊園地で遊びたくなることがあるのかななどと思っていたけれど、どうやら違ったみたいだ。
ここ最近、ピアノの練習で私が煮詰まっているのに彼は気づいていたらしい。