妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
私の気分転換になればと連れて行ってくれたのだ。
「恭介君、本当にありがとう。どんなに感謝しても足りないくらいだよ」
言葉では感謝の気持ちを全く伝えきれていないんじゃないかと、もどかしく感じる。
すると、恭介君が後ろからぎゅっと私を抱きしめてきた。
「言っただろ。美羽の夢をひとつひとつ叶えていこうって」
耳元で囁かれた甘い言葉は、記憶の片隅に残っていた台詞だった。
まさか彼の口から、このような形で再び飛び出すなんて思いもしなく、うまく言葉を紡げない。
「ピアノの講師もそうだけど、それよりも強い願いは大和がお義父さんの思いと共に会社を継ぐことだった。違うか?」
お兄ちゃんの思いに動かされただけでなく、私のためでもあったという思いが伝わってきて、胸がじわりと熱くなる。
彼の思いが嬉しくて涙までこみ上げてきた。
「両親が亡くなって、美羽が手痛い目に遭わされているのを知っていても、なにもできなかった。俺にも力がなかったから。だからしばらく会わずにいた三年間は必死だった。美羽の笑顔を取り戻すために俺はなにをすべきなのかとばかり考えてた。あの頃からずっと、俺は虎視眈々と羽柴を狙ってた」