妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~


「あぁ。深く関わってる。だから当然、引き受けてくれたら俺との時間も増えるってことだ。悪くない話だろ?」


自分で言って可笑しくなったのか、口元にわずかに笑みを浮かべた。

自嘲気味に笑っただけなのに、その一瞬で場が柔らかな空気で満たされた気がした。微笑む横顔も、相変わらず格好いい。

目を奪われていた自分に気づかされ、頬がカッと熱くなる。気恥ずかしくて顔をそらしながらも、心の中に温かさがじわりと広がるのを止められない。


「恭介君が譲ってくれた電子ピアノがあったから弾くことから離れずに済んだの。心の支えでもあったし、救われもした。ぜんぶ恭介君のおかげだよ。ありがとう」


両親が亡くなって、若い私たちに任せられないからと財産の管理を叔父が行うことになった。

その時、住んでいた家を叔父たち家族に引き渡すことになってしまい、兄と私は資産運用として両親が持っていたマンションの2LDKの一室へと引っ越さなければならなくなった。

叔父の家族と一緒に暮らすよりは、兄との二人暮らしの方が遥かに良い。

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