妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
その思いと共に明るく笑顔で返事をすると、恭介君が手がそっと私の頬に触れた。
「あぁ、そうしてもらえると嬉しい。……それから、それとは別に話したいことがある。金曜の夜は俺のためにしっかり空けておいてくれ」
指先のくすぐったさに、私はわずかに目を細めた。
「俺のために」という囁きの響きに体が甘く痺れていく。ぼんやりと彼を見つめ返したまま、気がつけばこくりと頷き返していた。
玄関先で「またね」と朗らかな笑顔で手を振る晶子先生に手を振り返してから、恭介君の車へと乗り込んだ。
「本当に迷惑じゃない? お兄ちゃんに迎えに来てもらえるけど」
「迷惑だと思うなら、自分から送って行くだなんて絶対に言わない。安心して乗ってくれ」
確かにそういう所は昔からドライだったと恭介君の性格を思い返し、助手席に腰掛けながら苦笑いした。
青砥家を訪れてから一時間が経ち、「そろそろお暇します」と話を切り出しソファーから腰をあげると、ほぼ同時に恭介君も立ち上がった。
兄から今夜叔父と食事することを前もって聞いていたらしく、「俺が店まで送って行く」と申し出てくれたのだ。