妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
今まで黙っていた高志さんから咎められ、途端に叔父の喋るスピードが落ちていった。
「毎回同じことばかり言っていたら、常務と美羽ちゃんに呆れられてしまいますよ」
思いを代弁してもらい好感度も上がりかけたが、兄を常務と呼んだことで嫌な気持ちになっていく。
以前は「大和」と呼び捨てにしていた。それなのに、会社ならまだしも親族しかいないこの場所でわざわざ兄を役職名で呼ぶのは不自然だ。
兄は箸を置き、高志さんに微笑みかけた。
「専務にはそう見えましたか? でも美羽も俺も決して呆れていたわけではなく、料理が絶品過ぎてつい夢中に」
「な?」と促され、私は「かますの味噌焼き、とっても美味しいです」とすぐさま話を合わせた。
兄が「専務」と鋭く言い放ったことで、そういうことかと納得する。
兄が常務に昇進したのはつい先日のこと。それと同時に高志さんも専務に昇進したのだ。
その時兄が「俺を専務にって推してくれる人も沢山いたんだけど、結局高志に。叔父さんに負けた気分だ」と切なげにこぼしていたのだ。