卒業まで100日、…君を好きになった。

「はじまったね」

「そ、そうだね」



彼はこっちを見ない。

しっかりと手は繋がっているけど、頑なにわたしを見ない。


ただ、フードをかぶる直前に見えた耳が、ほんのり赤く染まっていた。



午後11時過ぎからはじまった除夜の鐘。

最初は数えていたけれど、途中また転びそうになって、平くんに抱きとめられて。


頭の中がリセットされてしまったから、そこからはもう数えるのをやめた。

胸がドキドキうるさくて、それどころじゃなかった。


行列の先、辿りついた賽銭箱の前。

ゆっくりと彼の左手が離れていった。


ほっとしたような、残念なような、複雑な気持ちだけが残る。

総合すると、ちょっと寂しい。

< 154 / 356 >

この作品をシェア

pagetop