卒業まで100日、…君を好きになった。

返事を待たずにドアが開けられて、お父さんが顔をのぞかせる。



「なんだ。起きてたのか」

「お父さん……」

「ああ、いい。起きなくて。寝てなさい」


そう言いながら部屋に入ってくるお父さん。

腰を少しかばうような歩き方だった。

まだかなり痛むらしい。


お父さんが近くにくると、ふわんと甘い香りがした。

わたしの好きな、ケーキの香りだ。



「いま、帰ってきたの?」

「ああ。……調子はどうだ?」



お父さんがわたしの体調を気にしてくれるなんて。

父が娘の体調を気づかうなんて、普通の家庭では当たり前のことかもしれないけど、うちではいままであまりなかったから変な感じがする。


うれしいけど、くすぐったい。

お父さんもやっぱり昨日のことで、思うところがあったのだろうか。

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