卒業まで100日、…君を好きになった。

いきなり何を言うんだろう。

女性のパティシエなんていまたくさんいるのに、時代錯誤もいいところだ。



「ムッとした顔をしてるが、事実だ。お前はパティシエになることしか考えてないだろうが、重要なのはなってからのことだ」



朝は早い、帰りは遅い。

力仕事で体力も必要だ。


そういう仕事だってことは理解してるつもりだった。



「長く続けられる仕事じゃないんだよ」

「なんで? つらいから?」

「お前だっていつかは結婚して、子どもができる。この仕事は自由もきかないし、家族の生活リズムとまったく合わない。それはお前もよくわかっているはずだろう」



そうだ。

よくわかっていたはずなのに、突然降ってきて、ストンと自分の中に落ちてきたようだった。

目からうろこって、こういうことを言うんだろうか。

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