卒業まで100日、…君を好きになった。
「うん。わかった。わたしは大丈夫だよ。驚いたけど迷惑とは思ってないし。何か事情があったんだよね?」
「事情って言うか、なんて言うか……」
「……平くん?」
言いにくそうに、口ごもる平くん。
珍しいなと思って、フードをかぶったままの彼の顔をのぞきこもうとしてハッとした。
うわ、いま何時!?
時間大丈夫!?
「平くん、もうHR始まっちゃう!」
「あ」
「急ごう、平くん!」
「うん……」
ぐいぐい彼の背中を押して、わたしは玄関をあとにした。
この時、自分の中に何かもやっとした、じめじめと湿度の高いものが生まれたような気がしたけれど。
それを深く意識することはなかった。
意識しちゃいけないような気がしたんだ。