卒業まで100日、…君を好きになった。

きっぱり言って、平くんはその教習所のパンフレットを端にポイとよけた。

まるで汚いものを放るみたいに。


まさか、わたしがその教官に何かされるって心配してくれた?


わー!

なんだそれ! なんだそれなんだそれ!

平くん優しいなあ。


そういうセクハラめいたことは、きっと綺麗な人にしかやらないんだろうから、わたしは大丈夫なのに。

混んでる電車に乗っても、痴漢されたことも一度もないし。


自分で言うのもなんだけど、わたしは女子としての魅力に欠けている。

でも、だから、平くんの気遣いがうれしい。



「ふふ。平くんて、紳士だよね」

「は?」

「優しいもんね」



軽く目を見開いて、平くんはパーカーのフードをかぶった。

これはたぶん、彼が照れている時にやるクセだ。
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