一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
どんな偶然だろうが、海音は萌音に関することでなければ運命だとは思わない、いや、考えることすらできない。

萌音は変な気を効かせようとしたのかもしれないが

「お兄ちゃん」

と、萌音に呼ばれたときの海音の悲しみは尋常ではなかった。

海音が、必死に腕に絡み付く佐和田をようやく引き離したときには、既に萌音は大型家具店を出てしまっていた。

「彼女は俺の妹ではない。将来結婚するつもりでいる大切な人だ。邪魔しないでくれ」

海音はあまりの苛立ちに、思いっきり佐和田の腕を振り払った。

「でも、彼女はお兄ちゃんって言ったわよね?全然脈がないってことじゃないの?」

ニヤつく佐和田が本気で憎い。

高等部にいた頃、佐和田を筆頭とした理系特進クラスの一部の女子は、海音達のようなガリ勉タイプの男子をバカにしていた。

適当な普通科の男子と遊び、進学先は推薦で行けるような私立のお嬢様学校を選んで進学したらしい。

高等部の頃は゛キモイ゛と言って見向きもしなかったくせに、去年の同窓会に友人にどうしてもと頼まれて参加した海音の変わり様を見て、そのイケメンぶりに態度を豹変させた佐和田。

更に、佐和山建設の御曹司だと知った暁には、わざわざ本社の前で待ち伏せする等の暴挙に出る始末。

あまりにしつこい場合には、弁護士を立てて対応するとまで言って脅したのに何の効果もなかったのだと、海音はこの時理解した。
< 87 / 187 >

この作品をシェア

pagetop