一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~
「その強引さ、私にやってることはあの彼女と大差ないってわかってる?」

゛恥ずかしくて死ねる゛

と言った萌音が次に放った言葉は辛辣だった。

確かに同意のない状況での強引な振る舞いは、一歩間違えばストーカー行為と同じだ。

だが、萌音は本心から嫌がってはいない。

むしろエスカレートしてきている海音の行為を黙認しているとも言える。

「萌音は嫌がっていない。感覚でわかる」

「じゃあ、たった今から拒否権を発動します」

「却下」

そんなやり取りすらもジョークに変えられる位、海音と萌音はお互いを受け入れているのだと海音は確信できているからこそ、こうして強気に出られるのだ。

その後、家具店を出て電車で萌音のマンションの最寄り駅に向かった。

帰りの電車も都合よく混んでいて、行きと同じように萌音は海音の胸に抱かれて立ったまま眠っていた。

゛器用だな゛

呆れつつも、身体を預けてくれるくらい心を許してくれていると思うと海音の心はあたたかい気持ちで包まれていく。

同時に、佐和田に迫られても感じなかった、男としての欲が沸々と沸き上がるのを感じて困惑する。

こんなところで欲情しては痴漢と同じだ、と海音は微分・積分の公式を思い出しながら気をそらせていた。
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