転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 だが、セスは想いのままに行動した結果、リヒャルトを裏切る形になった。オストヴァルト帝国から、父親のリンデルトともども追放されたのに、なぜ、ここにいるのだろう。

「だめよ、セス。ここに来ては。さっさと出て行きなさい」

 ニイファに庇(かば)われる形になったヴィオラは、セスを説得しようとした。
 セスに対する感情には複雑なものがあるけれど、彼を殺したいとは思っていない。

「いえ、話さないといけないことがあるんです。リヒャルト殿下に関わることです」

 灌木の陰から姿を見せたセスは、エプロンをつけて長靴を履き、腰には選定の道具を下げて、皇宮の庭園で働く庭師に扮していた。
 明るい茶色の髪は以前と変わらずくるくると渦を巻き、好き勝手な方向に跳ねている。以前と異なるのは、髪と同じ色の瞳に、沈鬱な色が浮かんでいることだろうか。

「……それなら、早く話をして。そしてさっさと出て行って」
「俺を信用するんですか?」

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