転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 この大陸に桜は存在しないが、海を越えたミナホ国にはあるそうだ。ヴィオラがヤエコから譲られた髪飾りにも、桜の花が彫り込まれている。
 日本人にとって桜が特殊な意味を持つように、ミナホ国の人にとっても、特別な花なのだそうだ。
 日本にいた頃は、桜の花なんて春になれば当たり前に咲くものだった。
 商店街のみんなと、両親と、それから常連さん達と、近くの公園にある桜の木の下で花見をするのが毎年のことだった。
 店を閉めるわけにはいかないから、花見をするのは決まって夜。夜空に浮かぶ桜の花の美しさを、もっと目に焼き付けておけばよかったと少しばかり後悔している。

「桜でございますか?」
「うん。ヤエコ様にいただいた髪飾りに彫られている花のことよ。春になると咲くんですって。とても綺麗な花だって、タケル様も言ってた」
「そのうち、こちらの庭園にも植樹されるかもしれませんよ」
「そうね、そうなるといいわ。ヤエコ様、苗を持ってきてくださるかしら」

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