転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 リヒャルトは額に手を当てて嘆息した。

(タケル様、好奇心が強いとは思っていたけれど、まさか新月宮の隠し通路を探しているとは思わなかったわ)

 ヴィオラはまったく考えていなかったけれど、脱出路を確保しておくのは大切なことだ。タケルにしみじみと感心してしまう。

「ああ。客には知らせず、新月宮の使用人だけが知ってるんだろ? それもたぶん、けっこう偉いやつだけだよな」
「滞在する人間すべてに教えていたら、隠し通路の意味をなさないからな」

 この皇宮の中心まで敵が攻めてくることはまずないだろうが、各国の王族や貴族、皇族の親しい人間などを滞在させることから、満月宮にも新月宮にもいざという時の脱出路が設けられているそうだ。
 そういった隠し通路の存在はヴィオラも知っていたが、どこにあるのかはまったく知らない。知る必要もないと思っていた。

「この満月宮に直接来られる通路もあったぜ? たぶん、皇帝が客人と密会する時に使うんだろうな。秘密の談合とかあるんだろ」
「……まさか、それを使うと?」
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