転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
「リヒャルト様は難しいと思う。護衛の人には目立たないようについてきてもらって、タケル様と一緒に過ごす時間を増やす。これでどうでしょう?」
「ああ――、それで頼めるか」

 リヒャルトの顔を見ることができない。

(私ってば、馬鹿みたいだ)

 一瞬、リヒャルトにそばにいてほしいと口にしそうになっていた。
 彼がどれだけ忙しいか、ヴィオラはきちんとわかっているのに。
 それなのに、わがままな感情が顔を出しそうになる。

(もうすぐ、婚約するんだから、少しくらいはいいじゃないの)

 と。
 婚約するといっても形だけのもの。
 ヴィオラを望まない縁談から守るためのもの。
 双方異議がなければ、ヴィオラが成人した段階で改めて協議することになっているけれど、成立しなくてもかまわない。そんなあいまいな話だ。
 リヒャルトがヴィオラを〝婚約者〟だと言ってくれたからといって、成立したわけではないのだ。
 わざわざ婚約式を執り行うのも、父とザーラからヴィオラを守るため。それはわかっている。

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