転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 皇帝は、鷹揚な仕草でティアンネ妃に手を振る。ヴィオラの目から見る限り、ティアンネ妃に対する皇帝の対応は変化ないようだ。
 ティアンネ妃は不服そうに口角を下げた。

「そんなことをおっしゃっても……だって、陛下のお身体の具合が悪いのは、リヒャルト殿下がなにかしたからではありませんの?」
「くだらない」

 ふいと皇帝は顔をそむけた。明らかに機嫌が悪くなっている。

「まあ、陛下。機嫌を直してくださいな。私、オレンジを持ってきましたのよ。一緒にいただきましょうよ」

 皇帝のそばに置かれていたナイフを取り上げ、ティアンネ妃はオレンジを器用に半分に切った。それから、さらに四等分にする。

「さあ、まずは私が毒見を」

 ヴィオラが見ているのも気にせず、皮から外したオレンジの実を、ティアンネ妃は口に運ぶ。それから、もう一切れ取り上げ、皇帝の口元へと運んだ。
 皇帝が口を開け、オレンジが口内へと消える。

(み、見てはいけないものを見ている気分……!)

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