転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 はっきり言って、子供の目の前で見せていいものではないと思う。それくらいティアンネ妃のひとつひとつの動作は艶めかしかった。

(こ、これがオストヴァルト帝国の皇帝を二十年骨抜きにし続けた女子力――!)

 女子力などという軽い言葉で片付けていいものか。
 だが、ティアンネ妃が毒見をしたことで、皇帝も安心しているようだ。それどころか、ティアンネ妃が戻ってきたことを喜んでいるかのように思える。
目を丸くして見ているヴィオラの前で、ためらうことなくオレンジを口にした。
 ものすごく場違いな気がして、ヴィオラが引き下がろうとした時だった。

「離宮まで噂が届きましたのよ。リヒャルト殿下がなにかしたのだろうって。日陰の身だった彼の最近の増長ぶりには――」

 赤く塗られたティアンネ妃の唇が、次から次へとありもしないことを吐き出すのをヴィオラは呆然と聞いていた。
 離宮まで噂が届くって、そんなことはないだろう。離宮までどれだけ距離があると思っているのだ。

「よい、よい」

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