転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 だが、皇帝は手をひらひらと振っただけだった。ティアンネ妃の言葉を真に受けている様子は見られないが怒る気もなさそうだ。

「そなたは長旅で疲れているのだろう。部屋に戻って休むがよい。そうだ、ヴィオラ」

 まだ、ヴィオラがそこにいたのを思い出したかのように、皇帝は最後に付け足した。

「この間そなたが考案した卵の蒸し料理を、ティアンネの部屋に届けるように厨房に命じてくれ。食欲もないだろうしな。ティアンネの侍女を厨房に向かわせるから、それまでに用意しておくように」
「か、かしこまりました! すぐに厨房に行ってきます」

 これは、退出しろという間接的な合図なのだろう。ヴィオラは大急ぎで厨房へと向かった。
 小走りになりそうな勢いで、廊下を進みながら考え込む。不安材料がまたひとつ増えた。

(それにしても、まさかティアンネ妃が戻ってくるなんて……)

 あの皇帝の様子では、完璧にティアンネ妃の色香に惑わされているようだ。あんなにデレデレしている皇帝は見たことがなかった。
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