転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 馬車を出すほどの距離でもないし、訓練所まで歩いていくことにした。
 庭師達が丹精込めて世話をしているから、庭園の花はよく手入れがされている。
 アデリナ皇妃も、部屋に飾る花を自分で選ぶのを好んでいるとかで、特に最近は庭師達の気合が入っているらしい。

「綺麗なお花を咲かせられるってすごいですよね、タケル様」

 すれ違った庭師に手を振ると、彼らもこちらに手を振り返してくれる。
 手を振り返してくれる表情には、幼い子供の行動に対する微笑ましさが見え隠れしている。たぶん、彼らの目には、ヴィオラは十歳くらいに見えているのだろう。

「――俺は、花も好きだけど、団子の方がいいな」
「タケル様は食いしん坊ですね」
「――うまいものはうまいんだから仕方ないだろうが」

 なんてわいわいと話をしながら歩いていたら、不意にタケルが険しい顔になって足を止めた。

「ちょっと待て、ヴィオラ。ここから動くな」
「どうかしました?」

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