転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 そこに倒れていたのはセスだった。身体を丸めるようにして、横倒しになっている。腹部を斬られたらしく、そこから大量に出血していた。
 半分意識を失っているのか、時折低い呻き声が漏れる。

「そんなこと言ったって、誰か呼ばなきゃだめだろ? 俺ひとりじゃ運べない」
「この人、リヒャルト様の部下じゃなくなった時に、この国から追放されてるの。だから、人を呼ぶのはだめ。牢屋に入れられちゃうかも」
「それならリヒャルトを呼ぼう。ヴィオラは、ここで待っていてくれ。満月宮に着くまでの間になにかあったら大変だろ」
「わ、わかった……」

 なぜセスがここにいるのだろう。しかもこんな大怪我を負って。
 幸いにも倒れていたのは灌木に囲まれている場所だから、通りがかっただけの人には気づかれにくい。
 ヴィオラはスカートをそっと引き寄せ、できるだけ小さくなろうとした。

(たくさん血が出てる……こういう時は、どうするんだっけ?)

 とにかく血を止めるのが先だ。だが、傷を押さえるようなものなんて持っていない。
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