転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
(……私は、ここで待っているしかできないけれど……)

 実の息子であるセスを、あそこまで容赦なく切り倒したリンデルトだ。きっと、リヒャルトに対しても遠慮なんてしない。

「リヒャルト様――あの」

 なにか言わなければと思うのに、そこで言葉が途切れた。

(無事を祈るって言えばいいの? だけど……)

 ヴィオラが祈ったところで、リヒャルトにとってそれが追い風になるんだろうか。

(違う、私がやらないといけないのはそういうことではなくて……)

 リヒャルトの表情を見ていたら、彼に必要なものが理解できたような気がした。今、リヒャルトに必要なものは、彼に対する信頼だ。

「リヒャルト様、ちょっとかがんでください」
「どうした?」

 ヴィオラの頼み通り、リヒャルトが腰をかがめる。目の高さが同じになったところで、ヴィオラは彼の首に両腕を回した。

「リヒャルト様は、大丈夫です。間違ってないです――だって、ティアンネ妃が勝手に戻ってきたのが間違っているんだから」

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