転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
「私も……私も、行きます。リヒャルト様」
「父上も、ヴィオラを連れてくるようにとおっしゃっていたよ」

 そう告げるリヒャルトの声は、なんだか不満そうでもある。だが、皇帝の命令とあらば、彼には断ることはできなかった。
 皇帝がティアンネ妃をさばく場に選んだのは、太陽宮にある謁見の間だった。
 ヴィオラも訪れたことがあるが、この部屋はとても広い。広間の前方に置かれている椅子に皇帝と皇妃が並んで座る。
 ティアンネ妃は、その前に立っていた。
 彼女は、今日、こんな場に引き出されていても美しかった。金で刺繍を施した黒いドレスと豪奢な大ぶりの宝石が、彼女の美貌を引き立てている。
 父はリヒャルトの言葉通り、この席に同席することを決めたようだ。

「ティアンネ。そなたには失望した。まさか、このような愚かな真似をするとはな」

 皇帝の手にあるのは、ティアンネ妃の手の者が偽造した、皇宮に戻ってよいという命令書。そして、ザーラとの間に結ばれた金銭援助に関する書類だ。

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