転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 全速力でこちらに走ってきたのはニイファだ。彼女はセスに向けて包みを差し出した。

「まだ、本調子ではないのだから、ゆっくり行くのよ。ヴィオラ様の名を汚さないようにお願いしますね」
「わかったよ、ニイファ。君も――元気で」

 包みを受け取ったセスは、もう一度こちらに向かって頭を下げる。そして、ゆっくりときびすを返して歩き始めた。

「――ヴィオラ」
「リヒャルト様っ! リヒャルト様まで、そんなことしなくていいんですよ!」

 まったく今日は、どうなっているのだろう。リヒャルトはヴィオラの前に膝をつく必要などないのに。

「ヴィオラ・アドルナート」
「ふぁいっ!」

 真摯なまなざしで見上げられ、返事を噛んだ。こんな時に、こんなことにならなくていいのに。

「俺に、あなたの成長を一番側で見届ける権利を与えてほしい。いつか、あなたが成人するその日まで」
「……そんなの」

 ヴィオラは、ぷいと顔をそむける。そんなの、今さら請われるようなことではない。

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