転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
(お父様って、こんな声だったかしら? たしかに、あまり会話する機会もなかったのだけれど)

 以前は王としての父は、堂々としているようにヴィオラには見えていた。だが、今の父はどうだろう。

(皇帝陛下と比べると、ちょっと存在感が足りないというか影が薄いというか……)

 父だって、イローウェン王国の正装を身に着けている。だが、堂々としたたたずまいや品格という点では皇帝には及ばないように見えるのだ。
 国にいた頃には、あんなにも遠い人だったのに。

「たしかに――ヴィオラ姫が、よき縁を結んでくれた」

 満足そうに話す皇帝の声。ちらりとザーラの方に目を向ける。
 ザーラもまた、王妃としての正装に身を包んでいた。
白い襟のドレスに、赤いケープを重ねている。父が、母と結婚する前から夢中になっていただけあって、たしかに美貌の持ち主だ。
 ――けれど。
 今は、ザーラのけばけばしさが気になる。

(……おかしいな。前はこんな風に思わなかったのに)

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