転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 救われたような気分になって、ヴィオラはリヒャルトの方に顔を向けた。リヒャルトと視線を合わせると、すっと空気が軽くなったようだ。
 目立たないように伸びてきたリヒャルトの手が、そっと背中に添えられる。そこから温かいものが流れ込んできたようで、大きく息をついた。

(……大丈夫)

 リヒャルトに微笑みかけ、正面に目を向ける。真正面にいたザーラは、ヴィオラと目を合わせると、一瞬だけ眉間に皺を寄せた。

(ああ、この人は、本当に私のことが嫌いなんだ)

 そのことを、改めて思い知らされる。
わかってはいたし、ヴィオラの方からもザーラに歩み寄るつもりはない。ただ、改めてそう感じた、それだけのこと。

「婚約式は、二週間後でどうだろうか。イローウェン国王夫妻の到着がいつになるか読めなかったのでな、招待客達もまだ全員揃っていない。互いに交流を深める時間も必要だろう」
「国の方は、息子に任せてあるのでしばらくは問題ない。めったにお目にかかれない方々と交流できる機会は逃したくありませんな」

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