転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ~婚約式はロマンスの始まりですか!?~
 父はご機嫌だが、ザーラの機嫌はどんどん悪くなっている。こちらを見る目に、父の前では隠そうとしていた表情が浮かんでいるのにヴィオラは気がついた。

「はい。もし、お異母兄様がこちらに来ていたとしても、素敵な経験ができただろうと思います」

 ザーラの表情には気づいていないふりをする。

(……大丈夫、大丈夫だから)

 ぎゅっとスカートを握りしめた。このドレスは、皇妃が仕立ててくれたもの。髪には、ヤエコから贈られた髪飾りをつけている。
 ふたりの母がついているのだ。ザーラなんかに負けたりしない。

「そなたが元気にしているようでよかった。皇太子との婚約も、よくやった」
「ありがとうございます、お父様。おふたりに恥をかかせないように、今後も精進いたします」

 うむ、とうなずいた父は、満足そうな表情だ。イローウェン王国からオストヴァルト帝国に嫁ぐとなれば、玉の輿と言っていい。めったにない幸運だ。

「では、失礼いたします。お父様、王妃様」

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