かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「わぁ、綺麗なネックレスですね。これ、もしかして……ペリドットですか?」

「ああ、よくわかったな」

涙型にカットされた石は、鮮やかなオリーブグリーンの色あいと、独特な輝きを放っていた。壊れ物を扱うような手つきで箱から出し、手に取ってまじまじと眺めてみる。

「素敵……」

思わずため息がでるくらい、それはどの角度から見ても美しく煌めいていた。

以前、売り上げ不振に悩んでいた宝石店で仕事をしていたことがあったから、このネックレスの石がペリドットだということはすぐにわかった。

「でも、今日は私の誕生日でも何でもないですよ?」

「今日行ったデパートで新しくジュエリーショップが改装したから、と紹介されたんだ。そのときに見つけてね、あまりにも綺麗に輝いてて……君みたいに。だからプレゼントしたくなったんだ。貸してみな」

そう言われて長嶺さんの手にネックレスを載せる。後ろから腕を回されてドキドキしていると、項にかかる髪の毛を分けて私の首にそのネックレスを着けてくれた。

「よく似合ってる」

こんなふうに男性からアクセサリーをプレゼントされたのは初めてだった。嬉しくて顔がほてってくる。身に着けているだけで気持ちが明るくなるみたいだ。

「これをプレゼントしようと思ったのには他にも理由がある。君に元気になってもらおうと思ってさ。佐伯から聞いたんだが……君、大事なものをなくしたんだって?」

「えっ……」
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