かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「あのピンバッジは君の誇りだろ? そう簡単に手に入れられるものじゃない。何年も努力して辛いことも乗り越えてやっと手に入れた証だ。それを君から奪うなんて……だから許せないんだ」
「あの、長嶺さん……もしかして、あれが国際カスタマーアドバイザーコンテストのピンバッジだってこと、知ってるんですか?」
――あのピンバッジは君の誇りだろ? そう簡単に手に入れられるものじゃない。
彼にそう言われて確信した。長嶺さんは、あのピンバッジの意味を知っている。
「仕事柄、コンサルタントと出会う機会は多いからな、そういうコンテストがあることは知っていた。実際、優秀賞のピンバッジをつけてるコンサルタントとにも何度か会ったことがある」
冷え切った私の手を長嶺さんがそっと掬うと、やんわりと握られる。私の冷たい手は、彼から手を握られたとき初めてその温もりの心地よさを知ってしまった。
ピンバッジがなくなって正直辛い。本当は大声あげて泣けるものならそうしたいくらいだ。
コンテストにエントリーできるのは一店舗につきほんのひと握り。私はパリで多くのライバルに打ち勝つために試行錯誤を繰り返し、ときに挫折しかかって泣いたり、支店長に励まされて奮起したり色々なことがあった。そんな思い出も、ピンバッジとともに消えてなくなりそうで怖い。けれど、長嶺さんはそんな私の気持ちに寄り添ってくれている。
「あの、長嶺さん……もしかして、あれが国際カスタマーアドバイザーコンテストのピンバッジだってこと、知ってるんですか?」
――あのピンバッジは君の誇りだろ? そう簡単に手に入れられるものじゃない。
彼にそう言われて確信した。長嶺さんは、あのピンバッジの意味を知っている。
「仕事柄、コンサルタントと出会う機会は多いからな、そういうコンテストがあることは知っていた。実際、優秀賞のピンバッジをつけてるコンサルタントとにも何度か会ったことがある」
冷え切った私の手を長嶺さんがそっと掬うと、やんわりと握られる。私の冷たい手は、彼から手を握られたとき初めてその温もりの心地よさを知ってしまった。
ピンバッジがなくなって正直辛い。本当は大声あげて泣けるものならそうしたいくらいだ。
コンテストにエントリーできるのは一店舗につきほんのひと握り。私はパリで多くのライバルに打ち勝つために試行錯誤を繰り返し、ときに挫折しかかって泣いたり、支店長に励まされて奮起したり色々なことがあった。そんな思い出も、ピンバッジとともに消えてなくなりそうで怖い。けれど、長嶺さんはそんな私の気持ちに寄り添ってくれている。